ヒトはなぜ生まれてきたのでしょうか?この時期、この場所で?僕は広島生まれですが、広島に何故生まれてきたのでしょうか?僕がこれを考えたのはもう45年前の経験からです。
当時、家族で、プエルトリコという島に住んでいて父親の取引先の社長が住んでいる島に遊びに行ったんです。初めてカジキを釣るボートに乗りました。ボートはリビングルームがあって、寝室、台所もありました。普通の日本人中学生が経験できることではありません。ボートに乗る前、カジキの表彰式があったんですが、表彰式を僕と同じ年代の少年、少女がサトウキビを食べながら橋の上から見てたんです。靴も履いてなかったんです。僕との違いは大きく、この違いは何故かとずっと悩んでいました。
国連WFPによると8億1100万人のヒトが十分な食糧を得てないそうです。その一方、私たちは食事を捨てる罪悪感に不感症になっています。何故、このような違いが生まれるのでしょうか?僕はそれには意味があるからだと思います。意味があるからその事象は存在すると思うんですね。
赤ちゃんが生まれてすぐ亡くなることがありますね。悲しみしかありませんね。残酷ですが、それにも意味があると思うんです。
人生は予想がつきません。しかし、ヒトは計画を立てます。僕が初めて会社に入社した時、死ぬまでの年表を書いたんですね。30歳までに課長になるとか家を20代で建てるとか、結婚は何歳までするとか、子供は何人作るとか、全部計画を立てたんです。しかし、30歳の時、突然、計画は崩れ落ちました。深刻な病気が発病したのです。それは躁病です。躁病が何かとは知りませんでした。ムダを責任者に怒鳴りながら工場を回りました。僕は平社員でしたが社長のように振る舞いました。それは躁病の症状だという事が今は分かりますが、当時は真剣でした。
しかし、このままだと会社が潰れると真剣に思ったんです。経営陣がリストラをすると思ったんです。僕は会社がリストラするのが怖いんです。それは僕がスウェーデンに出張した時、取引先が大規模なリストラをして生の声を聞いていたからです。だから、僕の考えを社長に報告しようと思ったんです。社長の前に営業課長に話をしたのですが、課長はお前の言うことは分からん。ワシが社長に言って時間を取ってもらうから待てと言われました。しかし、待てず職場に戻り、30分位僕のオモイを大演説しました。人事課の職員数名が止めようとしましたが、無理でした。そのままま人事課に行って辞表を提出しました。数時間後大変な事をしてしまったと思いました。お気に入りのホテルがあり最上階のバーで一人でほとんど飲まないブランデーを飲み家に帰りました。
今、通院している病院に2020年から通院してます。双極性障害の8回の勉強会を2回参加しましたが、僕の場合は軽鬱もなく躁だけで珍しいのですが、医師は脳の病気だと言われました。脳の病気で会社を辞めるような事になるとはとんでもない病気だと思いました。
躁病は薬物使用やアルコールを飲んだ時の症状に似ていると聞いたことがありますが、違います。躁病は突然、感情のコントロールが出来なくなります。僕の場合、初期段階で薬を増やしたり、強い薬に変えても効果がない時があります。躁病は治らないとも言われています。死ぬまでこの症状と付き合わなければなりません
発病して30年あまり、全財産を失い、仕事も失い、結婚しようと思ったヒトも友達も全て失いました。それでも、躁病になったのは意味があると思います。そしてその運命を受け入れたいです。
30歳の時、最初の会社を辞めましたが、一生勤めようと思っていましたから途方に暮れました。助けを求めて普通行かなかった本屋に行きました。大きな書店で初めて稲盛さんの事を知りました。躁病にならなければ稲盛さんの事を知る機会はなかったと思います。稲盛さんの教えは貴重で、今まで受けた教育よりも稲盛さんのコトバは価値があります。稲盛さんはどのように生きればいいか、どのように仕事をすればいいかを示してくれました。僕のアイデアは悪くないと思いますが、考え方が間違ってました。稲盛さんの事を知った躁病になって良かったと言える理由の一つですです。
30年前は本の内容が理解出来ませんでしたが、稲盛さんが何万人、何十万人の雇用を生んだ、何千億の資産を作ったけどそれは生きる意味じゃないと書いてありました。僕は30歳の時に課長になるでしたが、稲盛さんはスケールが天文学的に違います。僕が立てた計画は意味がなかったと思います。
人生の意味は一番シアワセになると僕は言ってますけど、20代の時、印象的な映画を見て僕の思うシアワセを表現していると思います。戦争の時、カップルが検問所で分かればなれになりました。戦争が終わってお互いが探すんです。そして、やっと見つかるんですが、女性が会った次の日に亡くなるんですね。しかし、女性は一番シアワセだったと思います。シアワセは時間で決まるのではないと思うんです。一瞬で生まれたり、消えたりするんですね。そして死ぬ時にシアワセのマックスに持っていくのが理想です。だから、シアワセになる為の努力を死ぬまで怠ってはいけないんです。
死ぬ時、持っていけるものは一つ。それは心です。稲盛さんは“心を高める、経営を伸ばす”と言われてます。まずは心を高めなければビジネスも人生も上手くいきません。僕は心を高めるには愛を与え続けなければと信じてます。愛がなければ、どんなにカネ、モノ、地位があってもシアワセになれません。シアワセには愛が絶対に必要なんです。
僕の天命が何か分かりませんが、全てのヒトに共通する天命はシアワセになる事だと思うんです。全てのヒトが行く目的地で、それが生まれた意味です。